リクエストがあったので、ちょっと今回も書いてみます。 暁鐘屋サイエンス豆知識とか、すごい命名もらったんですが、そんな大それたものではない(苦笑)。
今回も先に断っておきますが、暁…理工系出身の現役の分析技術者ではありますが、放射能の系列の分析は専門ではありません。分かり易さ重視なので、正確さはちょっとおいていこうかと思います。 「あー、そこ違うなー。」という方がいらっしゃいましたら、申し訳ないです。 また、できるだけわかり易くしているつもりですが、それでも、要約できない専門用語とか出てきてしまったらすみません。そういうのは、まあ、つまり、暁もわかってないってことです。
ただいま、こっちの系列については猛勉強中です。 むしろ、大学卒業してから7年。 大分、頭のかったくなった私を、誰か助けてください(涙)。
基本、用語の説明が中心となりますが、これから、ちょっと、ショッキングなことも書きます。 しかし、まず、何よりも一番私の訴えたい事を。
今、この段階で一番恐ろしいのは、集団パニックになることです。うちも、常に電話が鳴りっぱなしです。 それは、分析屋として、頼られているということなのでいいのですが、ちょっと、パニックゲージが上がり過ぎているかな、と感じます。 被災地の救助活動、非難活動、その他もろもろ、原発の封印まで、何も終了していないところでの集団パニックは、非常に恐ろしいことです。 現実を粛々と受け止めて、冷静な判断をされることを祈っております。
では、参ります。すっげー長いので、そのつもりで(苦笑)。
今、ニュースでは放射能(=放射性物質)が各県で検出されていることが話題となっています。 いよいよ、農産物にも被害が現れはじめ、多くの人が不安になっているかと思います。 これまで、達観してきましたが、食品は直接体内に取り込むものなので、楽観はできません。 また、被害のある県はそろって関東の農業県、つまり台所。 長期化も覚悟をしなくてはならない状態において、この現実を受け止め、出来うるならば、世間の情勢にあったライフスタイルを模索するのもひとつの方法かと思います。(サイエンス関係ないな)
そこで、これまではSv(シーベルト)という単位が出てきていたのに、農産物被害になった途端にBq(ベクレル)という単位が出てきました。 「何?!シーベルトじゃないの?!」 と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 実は、関係する単位がけっこう多いのです。 今まで、Sv、Bqが出てきていますが(他にも出てきていたら、すみません。如何せん、ニュースは数値以外見ていないので)、他にGy(グレイ)やレントゲン、キュリー(記号がわからん、すみません)等が存在しています。 この中で、私が説明できるのはSI単位であるSv、Bq、Gyです。
今回は、この3つについて、ちょっと書いてみます。 その前に、SI単位ってなんだろう、という話ですね。 SI単位は、標準単位の事です。(多分)←多分て。 つまり、その事項を表すのに、一番一般的な単位のことであると考えてください。 例えば、長さを示すSI単位としてm(メートル)があります。 cmやmmというのは、mに対してc(センチ=100分の1)、m(ミリ=1000分の1)と言う風に意味付けをしているものなので、単位としてはm(メートル)なんですが、インチとか尺というのは、mとは異なる基準で長さを示す単位(notSI単位)です。 余計にややっこしくなってしまったかな?(苦笑) すみません。
では、まず新しく出てきたBqから行ってみましょう。
私の手持ちの資料には、「1Bqは1秒間に1個の壊変である」なんて、このブログ読んでる人の半数ぐらいは涙目なんじゃないかってことが書かれています。 何て、不親切な! Bqを説明するには、放射能が放射線を発する機構について、ちゃんとはわかっていない私が説明しなくてはなりません(涙) すべての物質は、元素というもので出来ています。 この中でウランやトリウム等の、もともと放射能を有しているものを放射性元素といいます。 はて? 今話題に上っているヨウ素などは、放射性元素ではないはずでは?と思いませんか? 元素はご存知のとおり、中性子、陽子、電子で出来ています。 そして、この元素には、元素として同じでも実は中性子の数が違っている同位体というものが存在しています。 それは、同じようだけど、ちょっとだけ違うものとでも思ってください。 しかし、その違いが重要です。 この同位体には、不安定なものと安定なものがあります。 元素は、不安定な状態でずっと存在していることができません。 では、どうなるのか。 不安定は同位体は、いずれ、崩壊してしまいます。 これを放射性崩壊といい、その際、放射線を発するのです。 この不安定な同位体を、たまに耳にするかもしれませんが、放射性同位体といいます。 今、ニュースに出てくるヨウ素(以下I-131と書きます)は、よく知られている栄養素のひとつであるヨウ素の放射性同位体です。 何となく、何が壊変するのか、分かってきていただけましたでしょうか? Bqは、放射性同位体が1秒間でどれだけ壊変して放射線を発しているのかを表す単位と考えることができます。 厳密には、違うのかもしれないのですが、まあ、イメージとしてはそんな感じでしょう(苦笑)。 ちなみに、農産物の基準値は2000Bq/kgです。 つまり、農産物1kgあたりで1秒間に2000個が壊変している場合、汚染された食品は流通させないという食品衛生法第6条(条数違ったらすみません)により、その農産物は流通を規制されます。 なので、ここで重要なのは、汚染された農産物は、正規のルートならば「流通していない。」ということです。 現在、関東全域と隣接県の担当分析機関が検査中で、そこで基準を超過したものは、ただちに回収+流通ストップとなります。なので、過剰反応することはありません。 現在、流通している…名前を出して申し訳ないけど、福島、茨城さんとかの農産物が、いつの収穫で、いつ搬入されたのか等、詳細がわかっていてまだ店頭にあるのなら、恐れることはありません。消費者意識に考慮して、販売店側が店頭から外しているようですが。
まあ、多くの毒というものは、目に見えませんので、不安になるのは当然です。 目に見えない。 それは、検査技師である私は本当によく知っています。 そして、検査をする人間からこれだけは言わせてください。 私達は、結果には絶対の自信を持って公表しています。信じるのは、得られた数字なのです。 これからも流通するものに関しては、検査を受けた上で安全を確認されたものであり、それについては、大丈夫なのだということをご理解ください。 その数字を信じられなくなったら、本当に、何も信じられませんもの。
で、Svについては、ちょっと前にも触れましたが、もう一度。ちょっと、補足。 放射線にも、いくつかの種類があります。γ線、中性子線、α線、β線といったところですかね。 この各線。性質とかが違います。 つまり、同じ量を受けた(被曝した)としても、その放射線の種類で受ける影響の程度が違うのです。Svはこの放射線の種類の違いを考慮した(各係数を掛けた)放射線量の「概念」を示すものとなります。 わかりんくけど(苦笑)、合理的な数字ということです。
で、この単位がニュースを賑わすくらい出てきたら、さすがに達観の域に達しているお姉さんも涙目なんですが… Gy(グレイ)。 これは、放射能から物質(人間とかも含む)の単位質量あたりに与えられたエネルギーのことで…つまり、1Gyは体重1kgあたりに1J(ジュール、熱量だっけ、エネルギーの単位だね)が吸収されたことを意味します。 まあ、何が涙目って…高濃度被曝してしまった場合に出てくるであろう確率が高い単位です。 気持ちが暗くなるので、今回は、やっぱりやめよう。 この単位を掘り下げて説明する日が、どうか、来ませんように。
あと、今回はもうひとつ。 I-131という放射能が、何故、最初に話題に上ったのか。 文科省でモニタリングしているγ線測定で検出できるからというのもあるのだろうが、これは、今回の原発事故のような際に初期から大量に生成され、さらに、こちらさま、揮散性が高いらしい。 つまり、広域に広がり易いのです。 ただね、私がこちらさまがニュースの主役だったとき深刻さなしだったのは、半減期(まあ、崩壊しているわけだから、いつかはなくなるわけで、これは半分になるまでの時間のこと。)がそこまで長くないんですよね。確か。 あと、こいつの対策として、何で安定ヨウ素剤を用いるのかですが、高濃度被曝した場合はもうそんな問題ではないのでさておき、各放射能に対して、人間の器官というのは異なった感受性を持っています。 I-131に高い感受性を持っている。つまり取り込んで感化されやすいのは、甲状腺です。 甲状腺はそもそも、ヨウ素を取り入れる働きが高い器官。 バセドウ病等の治療には、放射性ヨウ素を使うくらいなので(勿論、医学的に安全な量です)。 つまり、安定ヨウ素剤を用いる意味は「I-131を甲状腺が取り込んでしまう(集まってしまう)前に、安定な(放射線を発しない)ヨウ素で甲状腺を満たして、入り込む余地を無くす。」ことなのです。
長くなったので、今回はこんな感じで。 わかり…にくい気もしなくはない。 むしろ、私、あってるかな。 大丈夫かな。 大学で、とくに学ばなかったことが悔やまれます。 参考にしている資料に「理工系の大学を卒業している程度が前提」とか、ひどいこと書かれていて、本気でしょぼんだよ。卒業してても駄目だよ、だって、4流だもの(別に、出身大学については悲観してないんだけどね)。
とにかく、繰り返しになりますが、私が言いたいことは、冷静な対応をお願いします。 今の東日本では、誰もが不安です。 でも、パニックになってしまうと、視野がせばまって逆に危険になってしまう可能性があります。 どうか、不安であっても、今後の、未来のことを考えて行動していただけますように。 何年かかかっても、いずれ、放射能汚染は終わります。 今回、住むところを失われた方も多くいます。 それでも、生きるのだ、と言ってくれている人がいます。 考えなければならないことは、とても多く、そして、どんなに考えても答えが出ないことが多い。 それでも、自分が行き着いた考えは貫きたいので、書かせていただきました。
そして、ひとつだけお願い。 西日本の皆様。 日本を元気にできるのは、西日本です。 どうぞ、東京さん(どれだけだよ)に遠慮せず、産業・経済活動を活発にしていただけないでしょうか。 私も、個人では預金解放(何だ、そりゃ)して、できるだけ消費活動をしているのですが、一個人は非常に非力です。
ちなみに、関東地方からも中部地方からも宙ぶらりんな山梨県。 分析屋の横の繋がりでも、友人の繋がりでも「山梨」という名で鼻で笑われたことがありますが、電力供給は、東京電力さんです。今後、一番辛いところを全部被ることとなるかもしれませんが、東電さんのおかげで、これまで、山梨も不自由なく明るい生活を、福島の皆様のおかげで、東日本3大夜景を手に入れてくることができました。ここにきて、はじめて「関東」という意味も、「東日本」という意味も噛み締めています。 国土地理院がなんぼのものじゃ。 やはり、私達は関東人だったんだ。 この段落は、批判されるのを覚悟で書いています。 私の個人的意見です。
あいかわらず、生意気な文章ですね。 すみません。 何か、目にあまるようなら消します。 …高橋さん、どうでしょうか。 残念ながら、暁…限界です。 そのうち、PDFでも作ろうかしら。 文章だけで説明するのは難しい。
心労の心配をしていただきましたが、もう10日もすると今後が見えてくるので、それまでの辛抱と自分に言い聞かせています。PMSの時期にさしかかってきたので、余計に不安定なのかもしれません。 ただ、ひとつ変化を持たせたこともあります。 とっても残念なことに、ちょっと…一番イケナイ願望が出てきたので、その旨を先輩達に打ち明けています。 ひと段落したら、専門のところに相談に行くつもりであることも話した。 話しただけで、具体的な予定は立ててないけど。 言葉にすると、少しだけ楽になる。 しわ寄せが、だらっくまに行ってしまっています。 それも、申し訳ない。 ただ、部長への信頼はあまりないので、本来はマネジメントをしてもらう相手に何も伝えられない。 あとは…少し、遊んで(電車アレルギー中なので、山梨からは出られない)、発散させるのも手かな、とか。 まだ、こんなことを考えられない人も多いだろうに、申し訳ないです。 もう、本当にそろそろ、地震関連の話題はやめようか、どうしようか。 とはいえ、これが私の数少ないできることかもしれないし……。 毎回毎回、悲観していないと言いながら、泣き言書いてすみません。 正直、震災が引き金でも原因でもないです。症状の重症化には一役買ってくれていますが。 …不安定状態、もう5ヶ月目にはいります。 …これ書くことによって、このブログ、あとで消す羽目になるんだよ(苦笑)。
ちなみに、参考にしているもの↓ 衛生試験法・注解2010 東京同人発行 現代化学 1999年4月号(東海村の臨界事故を受けての特集記事) 文部科学省発 Ge半導体検出器によるγ線スペクトロメトリー 広島大学HP(から先輩が探してきた資料) Wikipedia関連ページ(確認のために) あと、名前出せないけど分析屋の横の繋がり(大笑)とかいろいろ。
現代化学…私は個人的に結構、面白いと思っている雑誌です。 ちょっと、化学かじっていればすぐ読める感じで、そんなに高くない(化学雑誌って高いのが多い)。 ちょっと宣伝(笑)。
それでは。
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